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アーティストインタビュー/ニシイズミユカ

現在開催中のニシイズミユカ展「夢で逢えたら」。

ファッションデザイナーとしての経験を活かし、人物やファッションを中心としたイラストレーションを手がけるニシイズミさん。本展では、メリハリのある色彩と軽やかな線で描かれた人物イラストを中心に、「現実と夢の境界線」に広がる世界を表現されています。

インタビューでは、イラストレーターになったきっかけやルーツ、6月に発売された新刊『レトロモダンなイラスト練習帳』の制作秘話など、さまざまなお話を伺いました。

ニシイズミユカ

静岡県浜松市出身。東京都在住。
2018年よりフリーのイラストレーターとして活動中。
専門学校桑沢デザイン研究所イラストレーションコース 講師。

ファッションデザイナーの経験を活かし、色数を絞ったメリハリのあるイラストや、ファッションを楽しむ人々を通して『日常の中に潜むトキメキ』を描く。喫茶店や相撲好きが高じ、多種多様な案件も担当。
個展の開催や企画展への参加、パッケージや広告のイラスト制作など、幅広く活動中。


Ⅰ.イラストを描くことについて

イラストレーターを目指したきっかけを教えてください。

幼い頃から絵を描くことは好きでしたが、その中でも特にファッションドローイングやテキスタイルなどのファッション領域でのイラスト制作が楽しいと感じていました。

ファッションデザイナーとして企業で働きながら、自身の私服をスケッチブックに描きSNSに投稿をし始めたのですが、その頃から本格的にイラストレーターとして活動したいと考えるようになりました。

ファッションの世界からイラストレーションへ転身した経緯を教えてください。

2018年頃から副業でファッション誌の挿絵制作などをスタートしたのですが、2019年に私服のイラストを書籍化するお話をいただき、そのタイミングで思い切ってイラストレーターとして独立することを決意しました。

ファッションデザイナーとしての経験は、現在の作品にどのように活かされていると感じますか?

ファッションデザインを通して学んだ色彩やアイテムの組み合わせ、細かなディテール表現は今の作風に強く反映されていると感じます。また、ファッションは「一番外側の中身」と呼ばれるほど人々の性格やライフスタイル、趣味嗜好を色濃く映し出す要素だと感じています。

人物像に対して多角的にアプローチできるというのも、ファッションを学んで良かったと思う点です。

人物を描く際、その人らしさや魅力を表現するために、意識していることは?

昔から自身が思い描く憧れの人物像をイラストに投影してきました。ファッションや髪型、姿勢などの細かな要素を通して「こんな人になりたいな」という憧れや煌めきのようなものを表現することを意識しています。

現在のような作風や色使いは、どのように生まれたのでしょうか?

旅行をしたり出先でスケッチをすることが好きで、常にスケッチブックを持ち歩いているのですが、画材を複数持参することは難しいので、その日のテーマカラーを決め、事前にペンを選抜して持参していました。
その時の経験が色数を絞った今のタッチにつながっていると思います。

作品づくりに影響を受けた人・コンテンツ、カルチャーは?

イラストレーターだと中原淳一さんやジョーン・G・ロビンソンさん、雑誌だとOlive、FRUiT、Zipperなど。昔から古着が好きで、古着屋やセレクトショップで出会う洋服たちにも常に刺激をもらっています。

ニシイズミさん自身は、日常のどんな瞬間に「トキメキ」を感じますか?

日々様々なトキメキを摂取し、生活をしています。ささやかなことですが、愛犬と過ごす時間や出先で見かけた素敵なコーディネートなど、自分が意図しない所にこそトキメキは転がっていると感じます。

絵を描くこと以外で、夢中になっていることはありますか?

相撲観戦と自宅で育てている植物たちです。好きなものや夢中になっているものは全てイラストにしたい!と思ってしまうので、結局絵を描くことにつながってしまいます。

Ⅱ.書籍について

『レトロモダンなイラスト練習帳』について。今回の本では、ご自身のイラストの描き方を「誰かに教える」という形で一冊にまとめていただきました。制作を通して、改めて気づいたことや発見はありましたか?

書籍の大半を占める描き方ページに関しては、どの程度噛み砕いて説明するべきか、かなり悩みました。花や動物など日頃からよく描いているモチーフはつい手ぐせや感覚で描いてしまうので、モチーフひとつひとつと向き合いながら、言語化していく過程が大きな学びになりました。

昔のデザインをそのまま再現するのではなく、ニシイズミさんらしい「レトロモダン」を描くうえで、意識したことは?

レトロモダンというワードがかなり広義なので「自分が思うレトロってなんだろう」という点から探っていきました。大好きな純喫茶や昭和初期のファッション、看板、パッケージデザインのような、どこか懐かしくてついつい心がときめいてしまう、そんな「レトロかわいい」イラストを目指しました。

書籍を制作するなかで、特に印象に残っているイラストや、制作時のエピソードがあれば教えてください。

「ヤギの郵便やさん」や「犬のお巡りさん」のようなストーリー性のあるイラストがとても新鮮で描いていて楽しかったです。複数のイラストを組み合わせることでストーリー性が生まれるよう、編集者の方と何度も打ち合わせをしながら描くモチーフを決めたのですが、その過程も楽しく印象に残っています。

Ⅲ.本展について

今回の個展タイトル「夢で逢えたら」と「現実と夢の境界線」というテーマは、どのようなところから生まれたのでしょうか?

個展のタイトルより先にメインビジュアルのイメージが思い浮かび、制作をしている過程で今回のタイトルを思いつきました。

「夢で逢えたら」という言葉には、現実では叶わないことも夢の中なら叶うかもしれないという、少し寂しくもあり、同時に優しい願いのようなものが込められています。
夢と現実の間、その曖昧な境界にある愛おしい瞬間や感覚をイラストで表現したいと思い、今回のテーマに決定しました。

「夢で逢えたら」というテーマを、作品の中でどのように表現していますか?

現実と夢の狭間にいる人をイメージしたイラストには、少しファンタジーな要素を組み込みました。
逆に、夢から目覚めた人やこれから夢を見る人をイメージした作品は、現実の延長線にある世界(今、目に見えている世界)をイメージして描いています。

今回の個展で、作品をご覧になる方に特に注目してほしいところはありますか?

「この人はどんな夢を見ているんだろう」と妄想を膨らませながら作品をご覧いただけると嬉しいです。
また、ひとつの作品を描くのに5〜10種類程度の画材を組み合わせて描いているので細かな部分もご覧いただけると嬉しいです。

これからさらに深めていきたいことや、挑戦してみたいことはありますか?

自分自身のルーツであるファッションイラストをもう一度きちんと学びたい(深めていきたい)という思いがあります。イラストのような平面の表現にとどまらず、立体物にも積極的にチャレンジをしていきたいです。

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