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アーティストインタビュー/chiyo

現在開催中のchiyo Exhibition「message」。

物語を感じさせる子どもや動物たちを描き、絵本やぬいぐるみ、雑貨などへも表現の世界を広げているイラストレーター・chiyoさん。本展では、「誰かに届けたいメッセージは、自分に贈りたいメッセージ」という思いを込めた作品の数々をご紹介しています。

インタビューでは、作品に登場する子どもや動物たちに込められた物語や、制作の背景、作家として大切にしていること、「message」というテーマに込めた思いについてお話を伺いました。

chiyo

イラストレーター。子どもの絵を中心に、物語のある作品作りをしている。
アパレルブランドへのイラスト提供、書籍、文房具、パッケージなどのイラストワークに加え、百貨店やPOP-UPイベントなどで展示会を開催している。
オリジナルブランドでは絵本やぬいぐるみ、遊び心のあるプロダクトを展開。
作品やグッズはブランドショップ「pieni trunkukka(ピエニ トランクッカ)」や期間限定POP-UPイベント、セレクトショップなどで扱っている。


Ⅰ. 作品と物語について

イラストレーターを目指したきっかけを教えてください。

小さい頃から絵を描くのが好きだったのと、本や物語も好きでしたので、絵や物語で何か伝えることができる仕事ができたらと思いました。

今の作風にたどり着くまでには、どのような変化がありましたか?

作風自体は最初からそんなに変わっていないのですが、絵の描き方はその時によって変化しているかと思います。絵の具でこってり盛るように塗るのが好きな時もありましたが、今はさらりと色を塗るのが好きみたいです。その時々の好みもあるかと思いますが、あまり縛られずに描きたい作風で描いていけたらと思っています。

作品づくりに影響を受けたコンテンツ(本、映画、物語など)があれば教えてください。

海外の絵本が好きでよく読んでいます。可愛すぎずデザイン性も高い絵本が多いように思います。詩的で余白のある、子どもだけでなく大人が読んでも考えさせられる絵や物語が好きです。Ida Bohatta、Elsa Beskow、Arnold Lobel、Tove Jansson、M. B. Goffstein などの作家さんが好きです。

作品に登場する子どもたちや動物には、それぞれ性格や背景のようなものがあるのでしょうか?

絵の子たちにはそれぞれ背景や物語があることが多いです。絵本でなく一枚の絵を描くとしても、物語を感じるような絵を描くのが好きです。

例えばアートブックの中にいる、黒いおばけみたいな子と小さくて丸い黄色い子は、「くらやみちゃん」と「かがやきちゃん」といいます。暗闇がなければ光は存在できず、光がなければ暗闇は認識できない。相反するものではありますが、どちらが「良い」「悪い」ではなく、それぞれに意味があり大切な存在です。二人はとても仲良しで相思相愛なんです。

お腹の中に空を持っているクマたちは、「空クマ」たち。世界中の空を映すことができますが、夜空だけ映す「夜空クマ」、青空だけを映す「青空クマ」、雨の空を映す「雨空クマ」など、空模様の数だけ無限に存在しています。空クマたちは手を繋いでいて、世界中の空は仲よく繋がっていることを伝えてくれます。全ての空を持っている空クマがいないように、この世界に完璧なものはなく、それぞれがそれぞれの役割を持って存在しているのだと思います。

普段、作品のアイデアはどんなところから生まれることが多いですか?

音楽を聴いたり、一人で静かに過ごす時間が大切だと思っています。そうすると、頭の中にいる絵の子たちが紙の上に出てきてくれます。私の中にたくさんいる絵の子たちや世界を、出してあげるというかんじが近いように思います。

Ⅱ. 制作について

作品ができあがるまでの流れを教えてください。

頭の中の物語や絵を、簡単に描いてアイデアやラフ画(下描き)を作ります。ラフの段階はいろいろな構図で描くことも多く、その中からしっくりくるものを選びます。ラフが出来たら本描き(下描きを綺麗に清書する)をして色を付けていきます。展示や仕事の場合はしっかりラフを作り込み決めていきますが、自由に描くものに関してはあまり作り込まずに描くことも多く、何を描くかによって変わります。

イラストレーターとして活動する中で、ずっと変わらず大切にしていることはありますか?

何でも出来る、どんな作風でも描ける、というよりも、これしか描けない、というものを大切にしたいと思っています。自分しか描けないものを大事に育てていきたいです。

「仕事」として描くイラストと、ご自身の作品として描く絵では、制作するときの気持ちや考え方に違いはありますか?

「仕事」として描かせていただくイラストは、相手の望むことを汲み取りつつ、自分の作風でどう落とし込んでバランスをとっていくかが大切だと思いますが、たくさんの方が関わることにより自分一人では出来ないようなものが生まれることも楽しいです。いろんな方とお仕事をするのはとても勉強になります。

自分の作品として描く絵は自分の考えだけで完結しますので、世界観を自由に出しやすく、それもまた楽しい作業です。
自分の作品は自由に作る。仕事では考えて作り込む。自由に作る作品があるからこそ、仕事にも反映出来るのだと思いますし、どちらも大切かと思います。

絵を描いている時間以外で、心惹かれるものや、大切にしている時間はありますか?

自然なものに心惹かれます。私たち人間も自然の一部なので、自然があるところで過ごすことはとても大切だと思っています。近くに素晴らしい野菜を作っている方も多いので、そんな旬の野菜を使って体に優しいご飯を作って食べるのも好きですし、気心の知れた人たちと過ごす時間も大切にしています。

Ⅲ. 個展「message」について

「message」は、どのようなところから生まれたテーマなのでしょうか?

メッセージは相手に伝えたいことなどを意味していると思いますが、展示で見ていただくこと自体、メッセージを送っているということだと思っています。その気持ちを改めて今回のタイトルにしました。いつも絵を見てくださる方に、初めましての方に、その人だけにピンとくるメッセージを送ることができるならばとても嬉しいです。

「誰かに届けたいメッセージは、自分に贈りたいメッセージ」という言葉が印象的です。
この言葉には、どんな思いが込められていますか?

言葉は時に凶器にもなり、心を癒す薬にもなるとよく言いますが、私たちは言葉によって悲しくも嬉しくもなります。嫌な言葉を発した時やもらった時は自分も嫌な気持ちになりますし、嬉しい言葉を発した時やもらった時は嬉しい気分になります。誰かにメッセージを送るということは、結果的に自分にも届くと思うのです。素敵なメッセージを大切な人にも自分にも届けたいなと思っています。

Ⅳ. その他

イラストだけでなく、絵本やぬいぐるみ、布人形、雑貨なども制作されています。
平面の絵からさまざまなものへ世界を広げていくことには、どんな面白さがありますか?

絵は、見て心に感じるものだと思いますが、絵本やぬいぐるみ、バッグなどのグッズになると、手に触れたり持ち運べたり、ぐっと身近なものになります。絵の子たちを身近に感じてほしいなという思いから制作しています。実際に、子どもたちも大人の方もぬいぐるみと仲よくしてくれたり、一緒に旅してくれたり、バッグに絵本を入れて持ち歩いてくれたり、絵の子たちと日々を楽しく過ごしてくださることがとても嬉しいです。

今後、イラストレーターとして挑戦してみたいことや、いつか形にしてみたい作品・企画があれば教えてください。

本が好きなので、もっと本に関わる仕事ができたらと思っています。自分で作る本も自由で好きですが、一人では届けられる範囲が狭いので、世界中の方に読んでいただけるような本がいつかできたら嬉しいです。
また、絵の子たちが動くアニメーションも作ってみたいです。

今回初めてchiyoさんの作品に出会う方へ、作品を見るときにぜひ注目してほしいところがあれば教えてください。

いろんな角度から自由な発想で見ていただければと思います。それぞれの人生とどこかで交わるポイントが少しでもあれば幸せですし、とにかく絵の中の子たちと楽しく遊んでいただければそれだけで嬉しいです。

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